スタート前
さあ、いよいよ柴又100K当日の朝を迎えました。目覚ましをセットした時間より少し早く目覚め、そこから2度寝は出来なかったのですが、睡眠時間は十分取れている感がありました。まずは朝風呂で体を温め起こします。これができるのも、ドーミーインのような大浴場付きホテルの魅力です。買ってあった大福とバナナの朝食を取り、ホテルを出発です。出口を出たところで、同じホテルに泊まっていたランナーと、頑張りましょう、と声を掛け合いました。上野駅からJR、西日暮里で地下鉄千代田線に乗り換え、それがそのまま常磐線となり金町で京成線に乗り換え、柴又に着きます。駅では寅さんと記念撮影、商店街を歩き、帝釈天に向かいます。
ここで、今回のレースでの一つのポイントなることがありました。グループで100kmに挑戦する方々が数名で歩いていましたが、そのリーダー的な人が、アームスリーブを着用すべし、ということを力説されているのを何となく聞いていました。朝見た天気予報では、前日までの予報より日照もあり暑そうだな、と思っていたところに、そのアームスリーブは暑さ対策にも有効、ということを再認識しました。レースの途中に貸し出しをしていることも知っていましたが、それは確実に利用できるものでもないし、ここはもう買ってしまおう、と会場での受付後に、真っ先に購入しました。結果的には、このおかげで、日焼けによる体へのダメージも抑えられたし、完走できた要因の一つになった、と思っています。
帝釈天で完走を祈願し、スタート会場へ到着です。
受付で参加賞をもらい、ZAMSTブースに寄りアームスリーブを購入、配布しているアミノバイタルを受け取りました。アミノバイタルと、参加賞に入っていた柴又の大福(まんじゅう?)も先に食べちゃいました。昨年は雨が降った後の更衣室で着替えようとした際に、靴下を濡らしてしまった経験があったので、着替えは乾いていることが分かる道路周辺を行いました。ドロップバック、手荷物を預けて、さあ、準備完了です。
スタート~40km
スタートは、世界記録を狙おうとしている招待選手も含むAブロックから始まるウェーブスタートです。私は一番後ろ、Dブロックで、6:51にスタートしました。どうしても最初はオーバーペースになりがちのため、できるだけ抑えての走り出しです。それでもキロ7分くらい、もう少し抑えると、どんどん抜かされていきますが、そこは気にせず、自分のペースを守ります。最初の20kmまでは、キロ7分半を切るくらいのペースが続きます。練習中でもフルマラソンでもそうですが、いくらスローペースで走っても、20kmを越えるくらいから、段々と辛くなってきます。ペースも、キロ7分半を越えるようになってきます。最初の大きなペースダウンは、30km手前、アミノバイタルが配布されたあたりです。柴又100Kのコース全体の中では、未舗装部分が4か所(往復で8か所)ほどあり、その前後では大きなアップダウンもあるのですが、これが結構走りや気持ちに影響します。単なる未舗装ではなく、大きめの不揃いの石がゴロゴロしていたりするので、ほんとに走りづらいのです。ただし、昨年から学んだこととしては、多少歩いたりして違う筋肉を使うことで、回復するきっかけにもなると認識しており、無理はしないように心掛けました。何とか40kmまでは、最低の目標としていたキロ8分を切るペースでは来ました。
40km~60km
さあ、いよいよ40kmのフルマラソンの距離を越え、疲れが最大になり、気力も落ちる領域に入ってきました。ちょうど折り返しの50km前後は、江戸川沿いを離れ、茨城県の五霞町の町中(田んぼの方が多いでしょうか・・・)を走ります。曲がり角も多かったりするせいか、去年はこのあたりでかなり歩いたり止まったりして、80km過ぎの関門を通過出来なかった要因の一つだった、という分析をしていました。それでも、ドロップバックの受け渡しがある給水所をはさんだ部分でキロ10分を越えただけで、50kmまでは来ました。しかし、50kmを越えたあたりで、いよいよ足が動かくなってきます。そこで、今年事前に用意していた秘密兵器の登場です。それはランニング中などに適したヘッドホンです。(SONY製、WI-OE610)昨年の分析から、まず気持ち、気力の落ち込みを何とかしなければならない、そこで、音楽を聴くことで力をもらおう、と考えました。50km過ぎにヘッドホンを装着、音源は、スマホのSpotifyです。ベタですが、ZARDの「負けないで」に始まり、80年代くらいのJ-POPを中心に、よく知っている歌が流れてきました。これが私には効果があり、歌を口ずさみながら、何とか足を動かすことが出来ました。今回の完走の要因、2つ目です。このヘッドホン、耳を塞がないため、周囲の応援の声も聞こえ、それに応えることができます。お薦めです。
60km~80km過ぎの関門
音楽効果もあって、何とか61km過ぎの関門は20分くらいの余裕をもって通過、いよいよ昨年通過できなかった80km過ぎの関門に向かいます。少し向かい風が強くなったりで、やっぱりキツい、無理かも~、と思い始める時もありました。そんな時、音楽だけでなく、気持ちの中で、あるいは声に出して、「1270km、1270km」とか「完走、完走」と唱えたりしながら走りました。「1270km」というのは、今年の1月からレース前日までの間に走った距離です。これだけの距離を走ってきたのだから、走り切れるはず、と自分を鼓舞します。他には、スタート直後から見かけた女性ランナーがいるのですが、その方の後ろのゼッケンには、「完走に向けて最後まで粘る、もがく」といった趣旨のことが書いてあって、その頑張る姿も励みになりました。(背中用のゼッケンには、自分でメッセージを書き込むことができるようになっています。)80kmの手前、未舗装道から坂道を登って通常の舗装された土手道を走り始めた時、ちょうど同じように80km過ぎの関門を目指す集団(3人ほどですが)の後ろに付けることができました。ちょうどいいペースで走っていましたので、自分は何も考えず、ただそのペースに合わせて付いていくよう心掛けました。そうこしているうちに、80kmを18時前に通過し、80km過ぎの関門を、数分の余裕をもって無事通過しました!! これで、確実に昨年の自分を越えることが出来ました。そのエイドで食べたアイスキャンディー、ガリガリ君の美味しかったこと!!
80km過ぎ関門から90km過ぎ関門突破まで
関門突破で大きな達成感を得ましたが、次の目標は完走です。本来の目標です。しかし、80kmを越えて走るのは、まったくの初体験、未知の世界です。そこに、引き続き正面からの強めな風も吹きつけてきます。ここで一旦ペースが大きく落ちかけます。前述した女性も80km関門は無事通過されていましたが、歩く時間が長くなり、明らかにペースダウンしています。自分にも、まずはワンステップ成長を示せたのだから、次にまた頑張ればいいか、みたいな気持ちも沸き上がってきます。一方で、またあんなに辛い練習をして、レースではまた、この80km過ぎまでを走る、ということを最低もう一度やらねばならなくなる、だったら、今回で完走してしまいたい、という気持ちもあります。何とかその気持ちを生かし、音楽の助けと、自分を鼓舞する言葉「1270km」を再び繰り返し、走り始めました。エイドの前後では歩き、また頑張って走る、と繰り返していましたが、完全に日は落ちて周りはまっくら、果たして自分はどのような位置で走っているのかも、ちゃんと確認できなくなってきました。そのため、何となくですが、もう90キロ過ぎの関門は通過できない、とあきらめの気持ちが強くなってきました。ヘッドライドを付けたりして、明らかにペースダウンして走っていました。そんな時、コース横に立っていた大会実行委員の方だと思いますが、「次の関門まで2km、15分を切ったところだよ」と声を掛けてくれました。とっさに、「キロ7分半以内で走れば間に合うんだ、しかしそれはスタートしたころのペースで厳しい、でもやってみよう!」、と考え、そこから猛ダッシュ(自分の感覚としては)しました。暗い中でアップダウンもあり足元が良くは見えないなか、とにかく走りました。実際キロ7分からそれを切る位のペースで走れていたのかと思います。なんと制限1分を切るギリギリのタイミングで90km過ぎの関門を通過できました! 今回完走できた最大のポイントは、実はこの声を掛けてくれた男性でした!そればなければ関門を通過できず、どうあがいても完走はなかったので。本当にありがとうございました!
90km関門からゴール!! その後
いくつかの幸運、要因が重なり合って、あとはゴールまで辿り着くだけです。ただ、ここで私は大きな時間の勘違いをしてしまいました。そのため、ゴールまではキロ10分を越えるくらいでも大丈夫、という大きな誤解をしたまま走り始めました。実際には、キロ8分を切るくらいのペースが必要だった、と後で気付きました。90km関門後走り始めると、数台の自転車が後ろから付いてきました。これは大会運営側が最終ランナーをフォローするためのものです。余裕あり、と誤解したままですので、このまま最終ランナーとしてゴールしたら、これはこれでヒーローになれるか?! など、余計なことも考えてたりしました。しかし、走っているうちに、2,3名のランナーを抜いたので、最終ランナーではなくなりました。自転車も付いてこなくなると、本当に真っ暗な中を独りぼっちで走ります。音楽の助けはありますが、ペースは上がりません。(上げる必要もない、と思ってましたが)残り1キロとなったところで、音楽は止め、ヘッドホンをはずしました。スマホを出したついでに、記念の写真も撮りました。
いよいよ感動のゴールです。まだ残っていたランナー、大会運営の方々も声を掛けてくださいます。自分としても渾身のガッツポーズ、万歳をして、ゴールゲートをくぐりました。フィニッシャーメダルをかけてもらい、水やアミノバイタルを受け取りレース後補給をしました。ただ、この辺から少し、あれっ?という違和感を覚え始めました。ゴールのところにある時計は14時間40分など随分制限を過ぎてしまったような表示になっているし、それだといくらDブロックが21分後のスタートだったから、としても、それさえも越えた時間に違いありません。そこでやっと、そうか自分は制限時間を越えてしまったんだ、運営の皆さんは、さっさと帰りたいのに、制限時間過ぎて走っている人たちも待ってくれてたんだ、ということに気付き、申し訳ない気持ちになってきました。かと言って、機敏に動くことはできません。ちょっとでも無理な体勢を取ろうものなら、足やら腹筋やら背筋やらが攣りそうです。そうっと歩きながら手荷物やドロップバッグを受け取り、何とか土手を登って反対側の道路前に辿り着きました。この状況では、電車の乗り換えなど無理だ、と判断し、初めてアプリ(S.RIDE)を使って、タクシーを呼んでみました。15分くらいでやってきたでしょうか、なんとかタクシーに乗り込み、無事家に戻ることが出来ました。そして、疲れを残さないためにもどうしても行っておきたかった銭湯へ。程よい湯にゆっくり浸かり、水風呂にも入り、コンビニでビール、缶チューハイなど買って、家での1人祝杯、となりました。
いやー、知らずに制限時間を越えてしまったのは残念でしたが、とにもかくにも、100kmを完走した!という実績を残すことが出来ました!
これで直近での人生最大の目標を達成しました! 次の目標を設定し、また明日から頑張ります!
(しばらくはゆっくり休みます。。。走りません・・・・)
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